6月20日に行われた新カリキュラム研修会「アーユルヴェーダとヨガの学び」講座のQ&Aです。
似た内容のご質問は、まとめてあります。ご了承ください。
いただいたご質問は順次、講師より回答があり次第更新します。各自にてホームページより情報をご確認ください。
Q:プラクリティ、トリドーシャ(P190)
生まれた時のプラクリティは、どのような方法でわかるのでしょうか?また、ドーシャのバランスをとることが、生まれた時のプラクリティに近づくことになりますか?それとも、バランスを整えるとトリドーシャに近づくことになるのでしょうか?
A:プラクリティ、トリドーシャについて
生まれた時のプラクリテイを知る方法は、わかりません。ドーシャのバランスを取ることは、より健康な心身を獲得することに繋がり、豊かな日常生活が送れます。
Q:トリドーシャの特徴(P194)
季節で梅雨=増大 夏=蓄積、とありますがヴァータは梅雨に増大するから夏には蓄積されている、ということですか。増大と蓄積はどう違いますか。
A:増大、蓄積の違いについて
増大はドーシャが増えて行きます。ですからドーシャの特徴が顕著にあらわれてきます。進行形になります。蓄積は文字のように蓄積されて動きにくい状態です。
Q:アーマ、オージャス(P197)
アーマを増やさないためのおすすめの方法がありましたら、教えて下さい。また、身近な食べ物で、オージャスを増やすものはありますか?
A:アーマ、オージャスについて
アーマを増やさないためには、食べ過ぎない。夕食は軽く済ませる。朝のヨガアーサナ、散歩。 白湯を常に飲む。オージャスを増やすには、自分のドーシャを知り、五味でバランスを取ります。
Q:体質にあわせたアーサナ(P203)
それぞれなぜそのアーサナがその体質にあっているのですか。コブラのポーズなど、どの体質にも含まれているものがあったり、反る・丸めるといったことで分けているのでもないようです。ねじりのポーズとかはいかがでしょうか。
A:アーサナについて
ヴァータ体質は体力がないので、激しい動きより、ゆっくりと呼吸をしながら行う。カパ体質は体を動かすことが嫌いなので自分の体力に応じてしっかりと体を動かす。ピッタ体質は体を動かすことは得意である。バランスをとりながらゆっくりとしたアーサナが良い。いずれの体質もアーサナは体調を考えながら、生命の声を聞きながら無理をしないで行うことが大切です。朝のカパの時間帯に行うことをアーユルヴェーダでは勧めています。
Q:パンチャコーシャについて(P204)
この考え方を学ぶことは、その他の部分とどう繋がりますか。この考えをテキストにのせる目的は何ですか。
A:パンチャコーシャについて
パンチャコーシャは、インド伝承医学であるアーユルヴェーダの心身哲学論ですから、最後に、アーユルヴェーダの心身の捉え方の基本としてここに参考追記しています。
※心身の哲学論というのは、例えばフランスのデカルトの「心身二元論」や、中国の道元の「心身一如」などのように世界中に色々な説があり、ボディ、マインド、スピリッツという表現や、WHOの健康の定義においては、肉体、精神及び霊性&社会での位置づけにおける身体観など学術的にも様々に表現されていて、最近は脳科学の進歩によって心と身体というよりも、心と脳の問題として考察されています。
◉パンチャコーシャ :人間五層説の説明
五層は図のように玉ねぎみたいに内側から重なっています。一番外側は肉体で、より粗大な物質からできていると考えられていて、五層は内側から外側へいくに従ってどんどん粗大な粒子になっているとイメージされています。
一番外側の肉体の層は、食事により生成されるもの、手に触れられるもので、食物の鞘(アンナマヤ・コーシャ)と言われています。これは私達が食べる物の影響を大きく受けます。この食物の鞘の層は、トリドーシャのバランスを取る事が大切で、その一つ内側の層と深く関わりがあります。食物の鞘から一つ内側の層は、生気の鞘(プラーナマヤ・コーシャ)と言い5つのプラーナの影響を受けます。(新テキストの呼吸法の章で5つのプラナは説明されています。)この正気の鞘のプラーナが乱れると食物の鞘も乱れますので、常に新鮮なプラーナを取り入れて整え、生命力:オージャスを活性化するようにしないとなりません。
そしてまた一つ内側には、意思の鞘(マノマヤ・コーシャ)があります。これは感情や心に関わる層です。外界からの刺激や自己が発するエネルギーにより乱れやすくなる部分です。従って、感情や心に振り回さないようにしっかりとコントロールする必要があります。更に内側には、理知の鞘(ヴィジュナーナマヤ・コーシャ)があり、ここは理性・知性の部分です。理知の浄化調整というのは大変難しく、自己感情の基準値を保つには、物事を正しく理解できていなければ困難です。沖ヨガの「冥想の教え」にあるように、広く深い体験から得られる智恵をエゴから脱した習得(小悟)でもって、智慧(大悟)に至らせることなのです。アーユルヴェーダではこの層を重要視していて「理知の過ちは病気の最大の原因」と教えています。
そして一番中心核の層は生命の真髄部、アーナンダマヤ・コーシャ、歓喜の鞘としています。この層は、宇宙、真我と結びついていて、アーユルヴェーダでは、人間の本質であるとし、歓喜幸福・純粋な状態であり、すなわち生命が健康な状態とし、それが人間の真の姿と考えているのです。インドのリグヴェーダにでてくる「シャンティ」というマントラの言葉の響きに存在するエネルギー、そのものと言えるでしょう。 従って、五層説:パンチャコーシャはこの章が提示する様々な知識の土台として大切な部分となります。
さて、この考えをテキストに載せる目的ですが、私達がヨガインストラクターとして当然知っておくべき知識であり、ヨガと共に生活するのであれば、自分ができる範囲で心身霊のアカルマの実践をしていただきたいからです。
子宮の中で愛に育まれて成長している生命を想像してみましょう。
私達の生命は子宮に浮かんでいる赤ちゃんのように五層を包み込むような幸福のエネルギー体としてあらゆるプラーナと共に存在しています。各層のバランスを調えながら霊性である中心核を、より輝かせて生きる方法をアーユルヴェーダより学び、ダンマ(宇宙法則)との不調和を調えるのです。食事、姿勢、呼吸などの生活習慣や、季節や時間などの空間次元でも調和をはかる方法を説くアーユルヴェーダの教えは、ヨガを単なるハタヨガとしてのみ捉えるのではない、沖ヨガの深い教えに通じるものであると感じます。その沖ヨガの教えをテキストに詰め込み、社会貢献を実践哲学として推奨する日本ヨガ連盟のインストラクターになる人にはぜひ知って頂きたい知識で、実践して頂きたいとの願いが込められています。
私達がヨガインストラクターとしてアカルマしなければならないという学びは、アーユルヴェーダのパンチャコーシャの心身哲学論からも捉える必要があると言う点は指導者としてしっかり理解すべきですし、新テキストを開いて学ぶたびに指導者自身もヨガとの繋がりを新たに意識できる事でしょう。自分の生き方、生活ぶりを振り返った時、見直して実践できる事はたくさんあるはずです。アーユルヴェーダの教えに習う事は決して難しい事ではなく、ヨガを行う事と同じに考えられるのだということをお伝え頂けたらと思います。
より健康に、より幸せに、より輝いて生きる科学と哲学の教え、それがアーユルヴェーダであり、具体的なアカルマ法への導き、それがパンチャコーシャの心身哲学の考え方なのです。(文責 宇部実智子)
Q:ドーシャチェック
ヴァータ32、ピッタ27、カパ43でした。
計算式のどれにもあてはまる場合、一番開きがあるものが自分の体質になりますか?
それとも一番数の多いカパになりますか?
A:ドーシャチエックについて
例(v)ヴァータ32、(p)ピッタ27、(K)カパ43
計算式
一番多い数43が次に多い数32とその次の数27を足して少ない場合は、
2番目に多い数と3番目の数を足したドーシャになる
43(k)>32(v)+27(p)=59 この場合はvpになる
51(p)>31(k)+30(V)=61 この場合はkvになる
*計算式は1種類なので、計算式のどれにもあてはまるはありません
*大差がないからvpkになるということは、計算上ありません。
一番多い数が2番目に多い数と3番目に多い数を足して少ない場合は、
2番目の数と3番目の数を足した数が多くなるので足した数のドーシャになります。
(2021年7月28日更新)