近年のヨガブームで沢山のヨガの本が出版されています。
読み比べてみるとポーズをする時の呼吸のしかたや心身への効果や影響の説明には多少の違いがあることがわかります。
例えば、猫のポーズでは反る時の呼吸を「吸う」と記述するものもあれば、「吐く」とされている場合もあります。また、肩立ちポーズによる刺激が「甲状腺の機能回復に効果や影響がある」などの説明があり、ほかの効果や影響なども記述されており、それが異なっている場合があります。
このことを理解するには偏らない視点が必要です。
ヨガの流派や種類により、行い方や効果、影響などが異なって捉えられることがありますが、沖ヨガでは、「ヨガは一人1ヨガ」と言い、講師の導き方や受け手の状態により個々に異なるものが養われていくとされています。それにより、引き出される効果や影響もマニュアル通りではないことが多いと考えられます。ヨガの効果がエビデンス(医学的証拠や根拠)に辿り着くのが実に困難な点です。
呼吸のしかたの表記に違いがありますが、どちらが「正しい」とか「間違い」と言うことではなく、「それぞれに異なる効果を引き出す」として理解するとよいでしょう。
沖ヨガでは、実践上の戒めとして「信じるな、疑うな、確かめよ」と説いています。
ヨガを指導するインストラクターは、自分が指導する際に相手に伝えているポーズの効果は、あくまでその指導をする人が体験したものとして表現し、盲信せず、疑うこともしないよう戒め、自分の身体をテキストとして内観することが大切だと教えているのです。
もちろん、ポーズをする際には自分の身体の内なる声に耳を傾けながら、決して無理をせずに行うことも大切です。
ヨガのポーズや呼吸をすることでさまざまな刺激を与え、心身全体(生命エネルギー)に働きかけ、ホルモンの分泌や自律神経のアンバランスが回復へ向い、結果として効果や影響があると考えられます。
例えば、甲状腺の機能回復には甲状腺がある喉の位置を開く動きの「弓のポーズ」や「コブラのポーズ」と反対の動きをする「鋤のポーズ」や「逆さか立ちのポーズ」を組み合わせることにより自然回復力が引き出され、バランス回復へ向かうよう工夫します。
1つのポーズが1つの症状に「効果や影響がある」という解釈に加え、全体的に捉えると心身全体のバランス(生命バランス)の維持回復にさらに役立てられるでしょう。
このように、ヨガを楽しむ方や指導する方は、本やテキストに記載される表現には限界があることをよく理解し、ヨガの指導を受け、また指導を自分で研究し続けていくことを大切にしてほしいと思います。