私たちが普段行っている無意識動作の中で、呼吸が大きな役割をもっています。
この無意識に行っている動作に意識を向ける事が重要なのです。
―無意識の部分に意識的に目を向けていこうー
「息を吸う」ということは、全身の筋肉が緊張します。それだけでなく吸う呼吸は自分の意志で動かすことのできない自律神経に作用します。特に活動のエネルギーとしての自律神経の交感神経を刺激します。
反対に「息を吐く」ということは、弛緩やリラックスの自律神経の副交感神経を刺激し身体が緩みます。ヨガの体操はこの吐く呼吸での緩むことに焦点をあてており、いかにしてカラダ(心身)を緩ませるかがポイントとなります。
私たちの体内には五つの臓器(心臓・肺・肝臓・腎臓・脾臓)があります。
その中で自分の意志である程度コントロールできるのが肺です。
私たちの日常生活の中で、普段肺の中の空気を全部吐ききっているかというとそうではなく、概ね肺の3分の2くらいの呼吸量に留まっています。
従って残りの3分の1くらいは空気の交換がなされていません。
これを完全にするためには、意識して息を吐きだして、吐き切らなければなりません。
呼吸器系統に疾患がなければ、息を吐き切れば自然に外の空気が入ってきます。
真に生命の力です。
しかし、深呼吸といえば最初に吸うことから始める人が多いようです。
本当の深呼吸はまず吐くことがポイントなのです。
特に肺は吸うときに膨らみ、吐くときに縮みます。ある程度の自分の力で肺の大きさを変化させることができる重要な臓器です。
息を吐きだす時は腕を親指側(内側)にねじります。息を吸う時は腕を小指側(外側)にねじります。
人間の身体は、外側に気が分散するとエネルギーが入りません。
立っている時でも気を内部に集中するために、拇指(足の親指)に力を入れましょう。
これは内側にエネルギーが集まり、カラダの中心・丹田力強化につながります。
呼吸は交感神経と副交感神経へ重要な影響を与えています。
呼吸は信号待ちの交差点でも意識できます。気の入った立ちポーズは美しい!
スマホを見ながら…なんてみっともないですね。
―日常生活の中で「息を吐きだす」ということは一体どういうことなのかー
「吐きだす」ということは、ただ単に息を吐きだすということだけではなく、同時に「自分の持っている力を出し切る」ことです。
これに気づきましょう。それに目を向けましょう。
健康も肉体生理面の数値に一喜一憂することなく、「ココロの面での安らぎ」を求めていきましょう。
しかし、このココロの面を忘れている人が多いです。これに目を向けていかないとヨガによる総合健康法とは言えません。
自分のものも 他人のものも 自分のもの、と欲を出し大きな重い荷物を背負っているのは、大きな間違いです。
栄養も呼吸と同じ原理で、先にカラダの中の老廃物を出し切ってから食べ物を入れなければ、いくら入れても栄養にはなりません。
断食をすると、復食の段階で例え重湯を一口でもとてもおいしいと感じ、食べる事の喜びも味わえます。
断食をすると栄養摂取の態度も変わってきます。
つまり精神的なものまで変わってくるのです。感謝の心が生まれ、変化ではなく進化します。
真の栄養摂取は、老廃物を出し切る事にあります。
呼吸を学ぶということは人格形成の基盤になるということがお分かりになってきたことでしょう。
「下座心」は相手の方から頂くことよりも、先に自分の持っているものを差し上げることです。「息を吐きだす」ことに合致します。相手の方から頂けるかどうかは関係ありません。
先に出し切ること(奉仕)を意識している人は、人間的にも立派になり自分自身の人格形成をより高めることができ、さらに物にも執着しなくなります。
様々な知識を吸収し行動によって知恵となすことは、「呼吸をいかに大切にするかに繋がり究極の生命力強化・人間性向上」になるのです。
出すべきものを出す。カラダもココロも綺麗になっていく・・・。
ここに「報恩感謝」が生まれてくるのです。 平和を祈りつつ・・・。
合掌
日本ヨガ連盟
ヨガアドバイザー/沖ヨガサンヘルス 代表 山田 晃